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インターフェースについて

Future beyond Digital printing 目次

  1. Future beyond Digital Printingについて
  2. ジョブズの印刷業界に与えた影響
  3. PCプリンターの歴史
  4. インターフェースについて
  5. どうなって行くのか、印刷展示会の将来は?
  6. デジタルプリンティングのルーツを探る
  7. インクジェット技術と製品の歴史(drupa2008以前)
  8. インクジェット技術と製品の歴史(drupa2008以降)-連続噴射型編
  9. ナノテクノロジーとナノグラフィック・プリンティング
  10. 特許情報から見えてきたLanda Nanographic Printing
  11. RICOH Pro VC60000に見るリコーPP製品事業戦略
  12. 新市場を創造するインクジェットプレスXerox Rialto 900 Inkjet Press

インターフェースについて

皆さんはUSBインターフェースとか、ユーザー・インターフェースとか、インターフェース(略語I/F)が付いた言葉をよく耳にしませんか?英語のスペルは”Interface”で、直訳しますと「界面、接触面や中間面」などとなりますが、コンピューターの世界ではハード、ソフトを問わずハード・デバイスやソフトウエアモジュール間の接続部分を指します。我々が良く使うのは、「ハードウェア・インターフェース」、「ソフトウェア・インターフェース」、「ユーザー・インターフェース」等です。特にハードウェア・インターフェースの場合は通信プロトコルと呼ばれるデータ送受信に関するルールは厳密に定義されますが、PC本体とプリンターを接続するコネクタ形状に関して推奨規格はありますが、比較的自由です。

前回はPCプリンターの歴史をご紹介しましたので、今回はPCとプリンターの接続に使われる様々なハードウェア・インターフェースについて時代を追ってご紹介いたします。

RS-232C(アールエス・ツーサーティツー・シー)

今でこそほとんどのハードウェア・インターフェースのデータ転送方式はシリアルになっていますが、RS-232CはPC登場以前にモデムとテレタイプ端末を接続する標準として米国ではEIA規格、日本ではJIS規格として定められたもので、今でも一般的にシリアル・インターフェースと言えばRS-232Cの事を指します。コネクタータイプはD-subタイプで当初は25ピンのみでしたが、IBMがPC/ATに9ピンタイプを採用した為にデファクト・スタンダードとなりました。現在では周辺機器の直接接続にはUSB、IEEE1394などが、通信用としてはイーサネットや無線LANが主流となり、ほとんど見かけなくなっています。

RS-232C用9ピンD-subコネクタ

セントロニクス・インターフェース

このインターフェースはパラレル・インターフェースとも呼ばれ、米国のセントロニクス・データ・コンピュータ社が1970年に発表したワイヤードット・プリンター用に開発した8本のデータ線を持つもので、8ビットの文字コードを並列にプリンターに送れるため、RS232Cなどのシリアル・インターフェースに比べて高速な通信が可能であった。開発当時はセントロニクス社がワイヤードット・プリンターで大きなシェアを持っていたので、プリンター・インターフェースのデファクト・スタンダードとなりました。更に、1981年に発表されたIBM PCの標準インターフェースにも採用されたため更に普及していきますが、最大の欠点は片方向通信だという事でした。その後、スループットの高速化と双方向データ通信機能を備えた国際規格IEEE1284が制定されることで、ストレージデバイスやスキャニングデバイスなど様々な使われ方とともに普及していきました。

36ピンパラレル・コネクタ

Apple Talk(アップル・トーク)

初期のアップル・コンピュータ社のMacintoshで採用されていた複数の通信プロトコルの総称。このインターフェースはデータ転送速度が比較的速いことと、非常に高度な通信機能を持っていました。例えば、Apple Talk対応機器は、電源投入時あるいはネットワーク接続時にブロードキャスト信号を流し、自動的にアドレスとマシン名を割り当てる。また、ネットワーク上のファイルサーバやプリンターを発見することが出来る。すなわち、Apple Talkのみのネットワークでは、ユーザは何の設定も行なわず、つないだ途端にファイル共有や印刷が行なえるようになっていました。こうしたユーザの手を煩わせない自動設定の仕組みはTCP/IPよりも先行していました。

Macintosh背面部分
Apple Talk コネクタ

SCSI(Small Computer System Interface)

アップルのMacintoshに標準装備されていた高速パラレル・インターフェースで、日本及び米国(ANSI)での公式規格です。SCSIインターフェースは多くの特徴を持っていますがその第一は、周辺機器を接続するインターフェースではありますが、コンピュータと周辺機器という主従関係では無く、各機器が対等の動作をすることを基本として設計されています。第二には8又は16ビットバスを使用するので、高速データ転送が可能であることです。例えば、スキャナーとプリンターを接続してMFP(複合機)を作ることも可能です。

各種SCSIケーブル

また、SCSIはバス形式ですが各機器を数珠つなぎでつないでいくことが可能で、「ディジーチェイン接続」とも言われています。各機器は1つのSCSIバスに接続しなければならなくまた、バスの両端には信号の反射を防ぐためにターミネータを接続しなければなりません。なお、ターミネータは必ずしもバス終端に接続されるわけではなく、ホストバスアダプタやSCSI機器に内蔵される場合もあります。

ディジーチェイン接続

IEEE 1394(愛称FireWire, iLink)

当初IBMとアップルが共同で推進したSCSI後継として、民生機器での利用も視野に入れて作成された規格です。最大で63台の機器を接続することが出来、転送速度は100Mbpsから最高3200Mbpsまでが正式規格化されています。速度を表現する言葉として速度数値の前に“S”をつけています。例えば、400MbpsであればS400, 1.6GbpsであればS1600です。Macintosh G5ではS400とS800の2タイプ(コネクタ形状が異なる)が標準装備されています。デバイス間に主従関係があるUSBはホスト1台に対して127台の周辺機器を接続するようになっていますが、デバイス間が対等なIEEE1394ではすべてがホストでも大丈夫な様になっています。また、機器が動作中でもコネクタを抜きさしする、いわゆるホットプラグが出来、接続ケーブルによる電源の供給も出来る様になっています。

もう一つの特徴として、USBもそうですがアイソクロナスモード(Isochronous:実時間同期転送モード)を持っている事です。アイソクロナスモードを使うとビデオレコーダなどの常に一定の速度で信号を出力する機器からの信号を取り込むことが可能になります。

IEEE1394ケーブル
IEEE1394 I/F搭載のビデオカメラ

USB(Universal Serial Bus)

PCから周辺機器を制御/通信する為のインターフェースであり、当初はキーボード、マウス、モデムやジョイスティックなど、PC本体との間であまり大容量のデータをやり取りしない機器を接続するために考え出されました。このインターフェースの特徴としては、ホスト1台に対して最大127台の周辺機器が接続可能であることと、電源を入れたままコネクタを抜き差し出来る事です。しかし、当初高速シリアル・インターフェースとして予定されていたIEEE1394の市場での普及が遅れ、その間にUSB1.1の普及が爆発的に進んだ結果、外付けCD-RやHDDなどもUSBインターフェースをサポートするようになりました。しかし、USB1.1は最高でも12Mbps(=1.5MB/s)というかなり低速でしか転送できない規格だった為、高速転送(最大480Mbps)の実現を目指してUSB2.0(HI-Speed USB)が策定されました。

USBケーブルの数々
USBコネクタ(オス)形状

USB 3.0は、物理的なダウンワード・コンパチを保ちつつ、最大データ転送速度が5Gbpsとなり、USB2.0の約10倍になりました。ピンの数が従来と比べて標準では5本増えて9本となり、USB On-The-Go(USB機器同士を直接接続させるインターフェース) 対応のオプションでは計10本となりますが、ピン形状が工夫され物理的なダウンワード・コンパチは確保されました。更に、USB 3.1はSuperSpeed USBで10Gbpsの転送速度を可能とするものです。 SuperSpeed USB 10Gbpsはより効率的なデータエンコードを使用し、現行のSuperSpeed USBの2倍の実効データスループット性能を実現します。一方で現行のUSB 3.0とのソフトウェア階層やデバイスのプロトコルとの互換性は保証され、5.0GbpsのUSB 3.0ハブ・デバイスやUSB 2.0製品との互換性も保たれます。

USB3.0ケーブル形状

次回はネットワーク接続用インターフェースや無線インターフェース等について、OSI参照モデルの解説などを元にお話ししたいと思います。

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