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どうなって行くのか、印刷展示会の将来は?

Future beyond Digital printing 目次

  1. Future beyond Digital Printingについて
  2. ジョブズの印刷業界に与えた影響
  3. PCプリンターの歴史
  4. インターフェースについて
  5. どうなって行くのか、印刷展示会の将来は?
  6. デジタルプリンティングのルーツを探る
  7. インクジェット技術と製品の歴史(drupa2008以前)
  8. インクジェット技術と製品の歴史(drupa2008以降)-連続噴射型編
  9. ナノテクノロジーとナノグラフィック・プリンティング
  10. 特許情報から見えてきたLanda Nanographic Printing
  11. RICOH Pro VC60000に見るリコーPP製品事業戦略
  12. 新市場を創造するインクジェットプレスXerox Rialto 900 Inkjet Press

どうなって行くのか、印刷展示会の将来は?

世界4大印刷機材展示会の一つであるIPEX2014がロンドンで開催されたことは、印刷業界の皆様は既にご存知だと思います。しかし、前回のIPEX2010と比べて、展示会場(バーミンガムNEC⇒ロンドンExCeL London)、出展社数(815社⇒350社)、来場者数(50,000人⇒23,000人)と何から何まで変わってしまった事に驚きと不安を抱いたのは私だけでしょうか?世界的に市場規模が縮小していく印刷業界の将来を暗示していると考えるのは考え過ぎでしょうか?

筆者は商品企画という仕事がら世界中で開催されてきたコンピュータ、周辺機器や印刷関連機材などの展示会を1980年代から現在まで見て回ってきましたが、極めて長期間継続している展示会もあれば短期間で終わってしまう展示会もありました。また展示会を開催する目的も多種多様で、モーターショーやカメラショーなどの様に、新技術・新製品を見せることで企業の技術力・製品開発力を誇示しユーザーに購買意欲を喚起する事を目的とするもの、印刷機材展などの様に新技術・新製品を紹介しかつ、商談の場として製品販売をも行う目的など多種多様です。コンピュータとその周辺機器や印刷機材等の展示会の過去から現在までを振り返り、印刷関連展示会の将来を予測しつつ、ユーザーとしてどう活用したら良いのかを考えてみたいと思います。

欧州のコンピュータ関連展示会の歴史

筆者が初めて海外展示会に行ったのは1980年にパリの郊外ラ・デファンスで開催されたコンピュータ関連展示会Sicobでした。Sicobは1950年から1990年の40年間開催されていましたが、主にヨーロッパ地域を対象として電動タイプライター、コンピュータ、ネットワーク/通信機器等、当時としては先進的な製品ジャンルを展示していたと記憶しています。またドイツでは、ハノーバー市にメッセゲレンデ・ハノーバーという世界最大級のコンベンション・センター(総面積100万㎡、総展示面積498,000㎡)が建設されていましたが、1970年には世界最大の展示ホール「1号館」(73,000㎡)の建設を機にコンピュータ関連機器と事務用機材の総合展示会ハノーバーCeBITの第1回目が開催されました。私は1990年からインクジェットプリンター事業部で商品企画部門を担当していた関係上、ハノーバーCeBITには自社製品の新製品発表や競合調査、市場調査等で何度となく訪れましたが、その広大な規模に驚かされたことや、コンベンション・センター内にある巨大なビアホールで楽しくドイツビールを堪能したことを昨日の様に思い出します。ドイツは第二次世界大戦直後から国策として見本市ビジネスを推進していますが、drupaが開催されるメッセ・デュッセルドルフ(総面積306,000㎡、総展示面積262,700㎡)や、Photokinaが開催されるメッセ・ケルンなどが有名です。

メッセゲレンデ・ハノーバー

北米のコンピュータ関連展示会の歴史

また、1980年~90年代で北米地域における大規模なコンピュータとその周辺機器展示会であるCOMDEXは春秋2回の開催で、春はニューヨークやアトランタなど場所を変えながら、秋はラスベガスで開催されていました。COMDEXの開催が始まった1980年代前半は、折しもパーソナルコンピュータ黎明期でTandy Radio Jack製ワンボードコンピュータ、IBM-PCとその互換製品、アップルMacintosh等とそれらの入出力機器、周辺機器等の新製品発表が相次いだ時期で、一時期は多くの来場者を集めていました。しかし、1990年代後半から顕在化した各社の思惑の相違(主催者側の思惑、出展社側の期待、メディアの要求)により、2000年からはIBM、アップルコンピュータ、コンパックといった主要企業が参加を見送るようになり、結果的に2005年にはCOMDEXは消滅してしまいました。

一方ほぼ同時期の1978年から始まったCES(Consumer Electronics Show)は主催がCEA(全米家電業界)で開催は毎年1月にラスベガス・コンベンションセンターで行われていますが、CESの方はCOMDEXの様な問題も無く、その時々にエポックメイクな新製品が発表されて今日に至っています。

ラスベガス・コンベンション・センター

世界4大印刷機材展示会の動向について

世界4大印刷機材展示会は周知のとおり、drupa(デュッセルドルフ:ドイツ)、Print(シカゴ:米国)、IPEX(バーミンガム⇒ロンドン:英国)IGAS(東京:日本)である。これらの展示会の開催順序はdrupa⇒Print⇒IPEX⇒IGASですが、2005年から2014年までの動向を分析してみる事とします。

drupe2004は展示面積161,000㎡、出展企業数1862社、来場者数394,478人であり、JDF-drupaと言われるほどCIP4/JDFに関する展示が盛んであった。従って、デジタル印刷というとJDFベースの機器間コネクティビティやワークフローを指していた。drupa2008は展示面積175,272㎡、出展企業数1971社、来場者数389,993人と来場者数以外は微増したが、Kodak, HP, FUJIFILM他数社からインクジェットプレス新製品が発表されインクジェットdrupaとも称されました。

メッセ・デュッセルドルフ

drupa2012は展示面積165,169㎡、出展企業1,850社、来場者数314,500人と来場者数が75,500人ほど減少したが、HP、Kodak他のデジタルプレスメーカーに加えて、KBA,KOMORIなどデジタルと無縁を思われていたアナログ印刷機メーカーの殆どがインクジェット方式のデジタルプレスを展示していた事に時代の流れを感じました。

drupa展示会そのものは、その運営基盤がしっかりしているので、しばらくは全世界の印刷産業に関わる人々への羅針盤としての役割を担い続けていくと思われます。

Print05は出展企業数954社、来場者数62,000人で、drupa2004開催の1年半後なので新製品の展示は無いと思いきやSCREENブースでTruepress Jet520の試作機展示も行われていたし、HPのインクジェットヘッドを使ったユニークな”Mailing & Fulfilment”製品が多く展示されていました。

SCREEN Truepress Jet520試作機

Print09は出展企業数650社、来場者数28,678人で大幅な減少を余儀なくされたが、視察に行った筆者にとってはPrint09で始めてみる新製品は皆無であったが、drupa2008で発表された新技術・新製品の1年半後の姿を落ち着いてじっくりと見ることが出来て、多くの収穫が得られた展示会でした。Print13は出展企業数560社、来場者数24,695人で米国内展示会GraphEXPOとほとんど同じ規模となってきました。また、drupa2012で発表された新製品のその後を知るにしても、殆どの製品がdrupa2008発表製品の派生製品の為にほとんど新しい情報が無く、GraphEXPOとの区別が付きづらくなって来たのも事実です。

IPEX2006は出展企業数1,145社、来場者数52,000人でdrupa2004とは無関係な感じの展示で、HP、XeroxやKodakなどがワイドフォーマットプリンター、カット紙デジタルプリンター等の展示を行っていました。IPEX2010は出展企業数815社、来場者50,000人でdrupa2008で発表されたデジタル製品の派生製品やXeroxなどはProduction Inkjet Technologyと称するソリッド・インクジェット方式の技術展示をしており、デジタルプリンターオンパレードでした。

Xerox Production Inkjet Technology

しかし、理由は不明であるがIPEX2014から展示会場を変更した関係か、展示企業数350社、来場者数22,768人と前回の半数以下で、大手企業のほとんどが参加しなかったので、これといって見るに値する製品は無かったと言っても過言では無いでしょう。

IGAS2003は出展企業数435社、来場者数120,539人でした。IGAS2007は出展企業数550社、来場者数130,164人と全体的に増加したが、その理由としてはdrupa2004,Print05, IPEX2006の各展示会で行ってきたCP4/JDFの技術や自動化されたワークフローを体感できる事が出来たからに他なりません。しかし、IGAS2011は出展企業数327社、来場者数73,554人と激減してしまいました。来年はIGAS2015の年なのでイベント主催者の努力で出展社数、来場者数と共に、IGASに行って良かったと思われるような内容の充実を期待したいと思います。

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