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Versant 3100 (富士ゼロックス)

図F-1 にVersant 3100 (富士ゼロックス)【100ppm,2400X2400dpi】の構成を示す。

図F-1 Versant 2100 (富士ゼロックス)の構成

図F-1 Versant 2100 (富士ゼロックス)の構成
①走査パネル ②給紙機構/重送検知装置 ③レジストレーション機構 ④定着器
⑤デカーラ装置 ⑥用紙冷却装置 ⑦インラインセンサー ⑧リアルタイムカール補正機構

このプリンターの狙いは、その前身であるVersant 2100の時より、「プロ市場むけの機能の厳選、コンパクトなボディー、高画質、コストパーフォーマンス」(発売時のプレスリリースより)にある。

基本仕様

連続プリント速度:100ppm(A4ヨコ)
解像度:2,400 x 2,400dpi
用紙サイズ:定型サイズ・最大A3, 11 x 17“、最小郵便はがき
用紙紙厚:64~256g/㎡、手差し:52~300g/㎡、(オプションのインターポーザーD1使用時350g/㎡まで可能)
最大給紙量:10,360枚
最大排紙量:14,500枚
ウォームアップタイム:300秒以下

(1)給紙搬送系
(給紙)
本機の給紙にはエアアシスト給紙が採用され、重送検知機構により更なる信頼性が確保されている。

(表裏レジストレーション)
表裏見当合わせはゲート式レジストレーション機構により、高精度を確保している。

この機構は「用紙をゲートへ突き当て傾きを補正し、その後、ラインセンサーの横ずれ検知に従って用紙をレジローラの左右への移動によりスライドさせ、用紙を一定の走行経路内に収める」ものである。(図F-2)

図F-2 ゲート式レジストレーション機構 (富士ゼロックス)

基本的なゲート式レジストレーション機構の出願特許を図F-3「実開昭62-53264 (富士ゼロックス)」に示す。

図F-3「実開昭62-53264 (富士ゼロックス)」

(2)露光・現像・転写系
〈高解像度化〉
通常、解像度を上げるためには、ビーム本数を増す、或はポリゴンスキャナの回転数をあげることが必要となるが、スキャナの回転数を上げることは、軸受などの耐久性、騒音などの理由により限界がある。

このため、各社とも半導体レーザの多ビーム化を積極的に検討してきた。

一般的な半導体レーザの構造は図5の様に、P型半導体とN型半導体でInGaAsPを挟んだ構造である。N型半導体からP型半導体に電子が移動する際にInGaAsPが励起されてエッジ部分から発光する。しかし、この構造ではマルチビーム化はほとんど不可能であった。

図5 半導体レーザの基本構造

面発光レーザはVCSEL(ビクセル)と呼ばれ、これはVertical Cavity Surface Emitting LASER(垂直共振器面発光レーザ)の略称である。VCSELの構造は図6の様に、半導体基板上に面発光レーザを並べたものである。

Versant 2100では従来の端面発光レーザに替り、面発光レーザVCSELを採用することによって1スキャン32本のマルチビーム化を達成した。(図F-4)

これまでの標準的な600dpiの1dotに4本のビームをあて4倍の解像度(2400dpi)を実現している。

更には、このVCSELの多数のビームを利用すれば、画像データ補正により、カラーレジストレーション補正を行い、従来のミラー移動に替わる補正制御なども可能となっている。

発光ビームシステムVCSEL-ROSも実用化されてから10年近くたち、種々の問題点への改良が加えられてきた。

VCSELは東京工業大学の伊賀健一教授が1988年に室温連続動作に成功させ、その後通信モジュール光源などの実用化から始まり、ここにきてプリンター用に適用が広がってきた技術である。

LBPの多ビーム化の検討は以前より行われ、例えば特開昭58-178661(1982出願、横河電機/蘭)には「2本のレーザビームによる同時書き込み」が示され、副走査方向の解像度を上げつつ印字速度を維持する方法が提案されている。(図F-5)

現在のVCSELに使用された「独立駆動可能なレーザビーム光源を千鳥状に2次元配列したレーザアレイからなる光源部」を示した出願は特開平6-991(1992出願、富士ゼロックス/太田)に見ることが出来る。(図F-6)

その後、VCSELは富士ゼロックス社を初めとした各社でマルチビーム化に用いられており、プリンターの解像度向上に多いに貢献している。

780nm帯8×4シングルモードVCSELアレイ 図F-4 VCSELによる解像度向上 (富士ゼロックス)
図F-5 特開昭58-178661
図F-6 特開平6-991

(3)定着系
〈定着搬送の安定性〉
従来のベルトロール定着器を更に小型化している。

2本の加熱ローラが定着ベルトを外部加熱によりムラなく加熱し、厚紙等においても安定して定着が行われる。

封筒走行時は定着パッドが有効に働くこととなる。(図F-7)

図F-7 ベルトロール定着器 (富士ゼロックス)

外部加熱定着の基本的な特許を図F-8「特開平8-314323 (シャープ)」として出願されたものがある。

また、ベルト定着の外部加熱定着は図F-9「特開2004-053847 (富士ゼロックス)」に開示されている。

図F-8「特開平8-314323 (シャープ)」
図F-9「特開2004-053847 (富士ゼロックス)」

〈カールの補正〉
熱定着という「紙に対して大きな負荷を与える処理」は紙カールの問題に重要な要因である。

本機ではデカーラー機構が搭載され、カールの大きさと向きに応じて調整が可能である。

 

(4)画像補正系
色補正のキャリブレーションは、インラインセンサーとX-Rite社製分光測色器により行われる。

これにより、単色のみならず、混合色に対しても、キャリブレーションとフィードバックがなされる。

 

(5)その他
1200dpiのRIP処理とデジタルスムージング処理の組み合わせにより、文字・線画の品質を向上させている。

又、「GX Print Server」などにより、10bit諧調補正処理が可能となり、グラデーション表現やハイライト/シャドウ部の再現性が高められている。

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