逆襲をかける電子写真 目次
- 電子写真方式に求められるプロダクションプリンターとしての課題
- Versant 3100 (富士ゼロックス)
- bizhub PRESS C1100 (コニカミノルタ)
- image PRESS C850 (キヤノン)
- RICOH Pro C7110(リコー)
- Océダイレクトイメージングテクノロジー
- Oce Gemini Technology
- Oce Radiant定着と組合わせカラー連帳紙へ対応する両面同時転写機構
- 花開くトナー機
- 液体現像への期待
RICOH Pro C7110(リコー)
図R-1 にRICOH C7110 (リコー)【90ppm,1200X4800dpi】の構成を示す。
このプリンターの狙いは、「C901の後継機として、プロフェッショナルニーズに応える高画質、高速出力・大量給紙による高い生産性、PODの可能性を広げる用紙対応力、ホワイトトナー・クリアトナーによる表現力の飛躍的向上、の達成」(発売時のプレスリリースより)にある。
基本仕様
連続プリント速度:90ppm(A4ヨコ)
解像度:1,200dpi相当 x 4,800dpi
用紙サイズ:SRA3,SRA4,A3,B4,A4,B5,A5,B6タテ、ハガキ、不定形(最大:330.2 x 487.7mm,最小100 x 700mm)
用紙紙厚:55~360g/㎡
最大給紙量:18,300枚
最大排紙量:100,000枚
ウォームアップタイム:300秒以下
(1)給紙搬送系
(給紙)
大容量給紙トレイからの給紙にはエアアシスト給紙が採用されている。(図R-2)
重送検知は用紙の透過光を検出することにより行われる。(図R-3)
エアアシスト給紙の特許出願例を図R-4「特開2010-189181 (リコー)」に示す。
(表裏レジストレーション)
表裏見当合わせはスキューと横方向のレジを別々に制御することにより行われる。
まず、①スキュー補正ゲートに用紙を突き当て用紙の傾きを補正し、②イメージセンサで補正量を測定、③レジストローラを横へ移動させることににより横レジを補正する、動作で実現している。(図R-5)
(2)露光・現像・転写系
〈トナー〉
トナーはエステル伸長重合法によるオイルレスのカラーPxP-EQトナーが用いられている。これにより、色再現領域は10%拡大し、かつ均一な微粒子が滑らかなドットの再現を可能としている。(図R-6)
〈ホワイトトナーとクリアトナー〉
本機では通常の色トナーに加え、ホワイトトナーとクリアトナーが使用できる。
これにより、プロセスカラーでは難しかった濃色紙や透明紙上での表現力が飛躍的に向上している。トナーはオフセットインキに比べ隠蔽性が高く、一度刷りでも鮮やかに。試し刷りから本印刷までより手軽に印刷が可能となる。
クリアトナーの使用は印刷面全体に光沢感を与え、高級感の創出に寄与することが出来る。
〈シームレス中間転写ベルトと蛇行制御〉
中間転写ベルトにはシームレスのベルトを使用し、2連のクリーニングブレードを搭載することにより、安定した画像を保証している。
ベルトの蛇行は蛇行センサーにより検知され、補正ローラの傾き制御により補正される。(図R-7)
〈現像冷却液冷システム〉
現像剤は本体内を循環する冷却液により冷却され、これにより長時間の安定した稼動が可能となる。
〈AC転写〉
凹凸紙への転写性を向上させるため、AC転写技術が採用されている。
これは、交流高電界を用いてトナーの往復運動を発生させ、トナー間に物理的・電気的相互作用を発生させることにより、トナーの付着力を低下させるものである。
図R- は2次転写領域内を示している。 まず、転写電界によって少数のトナーが中間転写ベルトから用紙へ転写する。 次に、逆向きの電界によって、トナーが中間転写ベルト上に戻り、中間転写ベルト上のトナーとの間に物理的・電気的相互作用が発生し、中間転写ベルト上のトナーの付着力が低下して転写しやすくなる。このようなプロセスを繰り返すことにより、中間転写ベルトから転写するトナーが増え、凹部で高い転写性を得ることが出来る。
〈レーザー〉
本機においては40本のVCSEL面発光レーザにより1200dpiX4800dpiが達成されている。
(3)定着系
〈定着搬送の安定性〉
定着器は定着ローラと弾性層を肉厚化した定着ベルトで構成されている。(図R-8)
これまで定着しづらかった凹凸紙の隙間にもベルトが追従しやすく、定着性が向上している。
また、熱量を確保し定着性を向上させながら、薄紙などの分離性も高めることが出来る。
〈定着ベルトリフレッシュモード〉
定着ベルト表層が摩耗した場合、定着リフレッシュローラがベルトの傷を平滑化し、画像スジの発生を防止する。
〈デカーラ機構〉
このプリンタにはカールを補正するデカーラ機構が装備されている。(図R-9)
凹カールの修正はデカーラユニットを上側にシフトさせ、用紙をデカーラローラの下側に通して行い、凸カールについてはその逆の動作が行われる。
修正方向や修正量についてはパネル状で設定することが出来る。
(4)画像補正系
環境、用紙の状況、印字内容などにかかわらず、安定した印字の確保が必要である。
優れた色再現性確保のため、本機においては「トナーののり量を検知するセンサーにより中間転写ベルト上のトナー量を常に監視し、リアルタイムでトナー補給制御部へフィードバックする」ことで、安定したカラー濃度を実現している。(図R-10)
更には、「表面電位センサーにより感光体の感度変化を検知し、レーザ光量制御部へフィードバックを行い」、中間調濃度の安定性のコントロールも行っている。