逆襲をかける電子写真 目次
- 電子写真方式に求められるプロダクションプリンターとしての課題
- Versant 3100 (富士ゼロックス)
- bizhub PRESS C1100 (コニカミノルタ)
- image PRESS C850 (キヤノン)
- RICOH Pro C7110(リコー)
- Océダイレクトイメージングテクノロジー
- Oce Gemini Technology
- Oce Radiant定着と組合わせカラー連帳紙へ対応する両面同時転写機構
- 花開くトナー機
- 液体現像への期待
image PRESS C850 (キヤノン)
図C-1 にimage PRESS C850 (キヤノン)【100ppm,2400X2400dpi】の構成を示す
このプリンターの狙いは、先だって発売されたC800の時より、「ライトプロダクション市場、用紙の種類/紙質にかかわらない安定した画質と高い生産性」(発売時のプレスリリースより)にある。
基本仕様
連続プリント速度:85ppm(A4ヨコ)
解像度:2,400dpi x 2,400dpi
用紙サイズ:330mm x 483mm, 320mm x 450mm(SRA3), 305mm x 457mm,A3,B4,A4,A4R,B5,B5R,A5R,B6、郵便はがき、郵便往復はがき、郵便4面はがき、ユーザー設定サイズ(100mm x 148mm~330.2mm x 762mm
用紙紙厚:52~300g/㎡、
ウォームアップタイム:360秒以下
(1)給紙搬送系
(給紙)
本機の給紙にはエアアシスト給紙機構が採用され、搬送部には重送検知機構が搭載されている。
(表裏レジストレーション)
本機においては、「用紙搬送時の斜行をローラの逆回転で補正する他、横レジ探知センサーによりレジローラを左右に移動させる左端レジ補正機構を搭載」している。(図C-2)
これにより、小型かつ高精度の表裏見当が可能となった。
(2)露光・現像・転写系
〈高解像度化〉
レーザスキャナには32本の面発光赤色マルチレーザを照射する「R-VCSELテクノロジー」を採用している。
赤色レーザを使用することにより、小スポット径を達成し2400dpiを実現している。(図C-3)
又、このマルチレーザを用いることにより、斜行補正、直角補正、台形補正などを行っている。
このR-VCSELはソニー株式会社との共同開発により実用化されている。
〈弾性素材の中間転写ベルト〉
凹凸のあるエンボス紙や再生紙などへの転写印字は必要不可欠であるにもかかわらず難易度の高いことである。
本機の中間転写ベルトは弾性素材で構成され、種々のメディアへ画像中抜けなく転写することを可能としている。(図C-4)
(3)定着系
〈定着搬送の安定性〉
高熱伝導率の2本のベルトで構成するツインベルト定着が用いられている。
ローラ定着に比べ低圧力の定着が可能となり、カールの防止に寄与している。(図C-5)
ベルトはIH(Induction Heating)により直接加熱され、更に定着ベルトの冷却機能の強化により、温調時間の短縮が可能となった。
ツインベルト定着システムの基本的特許出願を図C-6「特開昭49-70633 (キヤノン)」に示す。
〈グロスコントロール〉
電子写真による出力を見て、オフセット印刷との違いに気付くことの一つに、グロス特性がある。
これは、電子写真のトナー層が厚いことや、ワックス成分を有していること、などが原因となっている。
特に、濃度変化に対するグロス変化や、用紙粗さ変化に対する印字グロスの変化に違和感を感じやすい。
この対策として、例えば本機においては「用紙設定により、トナーの熱融解特性をベースとなる用紙のグロス特性に対して最適化する」などにより普通紙、コート紙、グロス紙など各々にマッチするような対応を行っている。
(4)画像補正系
濃度補正は中間転写ベルト上の紙間にパッチしたYMCの濃度を検出し、補正する。
パッチは各色5諧調であり、安定した色味を再現することが出来る。
また、YMCK各色の濃度バランスを整える為、テストチャートが用意されている。これによれば面内の一様性の均一な諧調補正を行うことが可能となる。(マルチカラーリーダユニットが必要)(図C-7)