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Future_beyond_Digital_printing

Future beyond Digital printing 目次

  1. Future beyond Digital Printingについて
  2. ジョブズの印刷業界に与えた影響
  3. PCプリンターの歴史
  4. インターフェースについて
  5. どうなって行くのか、印刷展示会の将来は?
  6. デジタルプリンティングのルーツを探る
  7. インクジェット技術と製品の歴史(drupa2008以前)
  8. インクジェット技術と製品の歴史(drupa2008以降)-連続噴射型編
  9. ナノテクノロジーとナノグラフィック・プリンティング
  10. 特許情報から見えてきたLanda Nanographic Printing
  11. RICOH Pro VC60000に見るリコーPP製品事業戦略
  12. 新市場を創造するインクジェットプレスXerox Rialto 900 Inkjet Press

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Future beyond Digital Printingについて

本サイトではデジタルプリンティングの過去、現在と未来を様々な角度から解説していこうと考えています。私が書いていく内容はプリント技術、製品、ソフト標準化、等など非常に多岐にわたりますが、今後書いていく内容や情報の信ぴょう性を理解して頂く為に、簡単にプロフィールをご紹介いたします。

インクジェットとの出会い

私は1969年にキヤノン株式会社に入社して2004年末に、起業する為に早期退職をしました。入社後7年目の1976年(37年前)からオフィスコンピュータの開発を担当しましたが、オフィスコンピュータで使う帳票や元帳の印刷用としてピエゾ方式のカシオタイピューターやコンティニュアス方式のシャープ・インクジェットプリンターの技術検討や自社製のピエゾ方式インクジェットプリンターの開発を行いました。当時はピエゾもコンティニュアスもインク吐出ノズルは1ノズルなので、標準連帳紙の136ケタをプリントするのにえらく時間がかかったのを覚えています。

スティーブ・ジョブスとの出会いとApple Style Writerの開発

1990年秋の発売直後から全世界のコンシューマプリンターのトップセラーに躍り出たBJ-10(日本国内向け製品名BJ-10V)を開発していた1989年に、今は亡きスティーブ・ジョブスと会う機会がありました。まだBJ-10の試作機がなかなかうまく動かずに、手をインクで真っ黒にして実験室で仕事をしていたところに、突然私の上司がジョブスを連れてきたので、慌てて真黒な手のまま握手をしました。当然ジョブスの手も黒く汚れたのですが嫌な顔一つせず、私が下手な英語で説明する試作機のコンセプトや開発上の苦労話を興味深く聞いてくれた事を今でも鮮明に覚えています。
 すでに、ジョブスはスカリーにAppleを追われてNext Computer社を立ち上げていましたで、AppleにBJ-10エンジンをOEM供給してまとめたApple Style Writerの開発決定に関わってはいなかったのですが、ジョブスが創り上げたアップル哲学(デザインや性能にとことんこだわる。)をその時に知りました。

Canon BJ-10
Apple Stylewriter

商業印刷との出会い

前述したようにオフィスコンピュータ開発を担当しているころから同梱マニュアルの制作にも関与していたので、1976年頃も取引先の印刷会社を訪問してデータ制作から印刷、製本と一連の工程は勉強していました。当時はやっと電算写植が出てきた頃で、カラー処理に関しては巨大な筐体のミニコンピューターと専用アプリを使って現在のAdobe Photoshop並みの写真画像処理機能のデモを見た記憶があります。

本格的に商業印刷を勉強し始めたのは2000年からで、理由はインクジェットプリンター開発事業部のマニュアル開発部長となったからです。マニュアル開発と言うと奇異に感じる人もいるかもしれませんが、キヤノンの様な規模の企業になるとどんな業務分野でもQCDS(Quality, Cost, Delivery, Service)について改善を継続する責任があり、開発的センスと実行力が求められていました。更に苦労したのはプリンターの海外生産が進んでおり、ベトナムにインクジェットプリンター新工場を2001年までに稼働開始させるタイミングで、マニュアルの印刷製本を現地化するという重要なプロジェクトを任された事でした。

データ制作から製版まではすでにタイ工場向けに独自に開発したPDFワークフローが稼働していたので製版業務は問題無いと考えていましたが、ハノイ近郊の印刷会社はどこも国営企業の為にいわゆる計画生産で、とてもノンビリとしていました、そこにSCMに基づいたキヤノン方式の日次オーダー・日次生産/納入を前提としたマニュアル印刷製本業務を行うにはあまりに問題が多すぎました。やむを得ず、印刷製本業務ワークフローを猛勉強し現地国営企業との交渉を繰り返して、2001年春の工場稼働開始にやっと間に合わせる事が出来ました。

印刷業務定義標準規格”JDF”との出会い

私はグローバルPDFワークフローを完成させ運用させていく中で、よりシステム化されたワークフローを構築しようと情報収集の為に視察に行ったJGAS2001のハイデルベルグ・ブースで初めてJDFを知りました。JDFは2000年2月のシーボルトセミナーで、アグフア、アドビ、ハイデルベルグ、マンローランドの4社が「新規Web対応パブリッシング及びグラフィックアーツジョブチケット標準」として発表し、2001年4月10日にJDF Ver 1.0として正式にリリースされました。ハイデルベルグのブースではJDFベースのMISソフトPrinectを介して印刷機(Speedmaster)と製本加工機(Stichmaster)の連係動作(ジョブチケットでの)のデモとパネル説明を行っていました。

JDFを初めて知った時に、私は直感的にインクジェット技術とJDFが連携すると印刷業界にパラダイムシフトが起こると思いました。会社の仕事は既に超多忙な日々でしたが、寸暇を惜しんでCIP4/JDF情報を集めて翻訳し理解をする為に勉強し、それと同時に少しずつ印刷業界の現状や将来について分かるようになっていきました。

ベンチャービジネスの起業

私は、インクジェット技術とJDF標準により10年後(2015年)には印刷業界にパラダイムシフトが起こる事を確信して2004年12月にキヤノンを早期退職し、翌年に(株)プリンテクノを創業しました。自分の将来予測が正しい事の裏付けを探す為に早速Print 05(シカゴ、2005年秋)に視察に行きました。Print 05の大日本スクリーンのブースでTruepress Jet 520(エプソンヘッドを使った高速連帳機)のプロトタイプを見た時はまさに予測的中で大変感動しました。その後、IPEX 2006やPrint China等の視察を行い、IGAS 2007ではCIP4 Japan代表として国内外メーカーの協力を得て、来場者の皆さんにJDFをより理解してもらう為にJDFパビリオンの企画、運営やJDF関連セミナーの開催などを行いました。

2030年の印刷ビジネスを予測する

2030年の印刷現場の環境は激変しており、ほとんどの印刷機はデジタル印刷機に取って代わっており、印刷用紙の供給や折り・丁合・断裁・製本など行う事前事後処理装置はインライン構成(印刷用紙は各デバイス間を自動的に流れて完成品が出来上がる。)となっています。

インライン構成のデジタル印刷システム

また、一方でインライン構成に向かないワークフローはデジタル印刷機と事後処理機はニアライン構成/オフライン構成で配置されているので、印刷用紙の自動倉庫からの取出し/搬送とデジタル印刷機へのセットまでとデジタル印刷機から各事後処理装置の間の印刷用紙の搬送/セットは人型ロボットに置き換わっています。当然最終工程での出荷検査、梱包や仕向け先別の仕分け迄、ロボットが行っているでしょう。

印刷製品梱包ロボット

すでにJDFはデジタル印刷機と事後処理機を連係させる為の手段として各社の製品に使われていますが、今後更に重要となってくるWeb to Printソリューションやパーソナライズ情報、製品物流情報などをトラッキング(追跡)する機能も充実していきます。統合ワークフロー管理はJDFの後継標準であるXJDFとクラウドが担っているでしょう。

デジタル印刷機と事後処理機とのJDF連携

「印刷温故知新」サイトを開設する目的は業界トレンドを予測する為に必要な情報を発信する事です、これからの印刷業界は単にアナログ印刷機からデジタル印刷機に印刷設備が置き換わって、印刷会社が扱う商材の形態や作り方が変わる程度の変化は序の口であること。過去を振り返ってもIT技術を中心に、大きな技術革新が進んだ結果、情報インフラが加速度的に変わって生活スタイルや人間社会の価値観ですら変わってきた。従って、私が言いたいのは極論すると2030年に印刷ビジネスそのものが残っているどうかを疑ってみるくらいの、過激な(破壊的な)将来予測をしてみる必要が有るという事です。その結果、自ずと今自分はどう行動していくべきかが見えてきて、正しい選択肢を決定する事が出来ると確信します。

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